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Exhibition:
Kunio Tsuji

For Gakushuin University
Museum of History

Exhibition Design, Space Design

2016年11月8日(火)から12日(土)にかけ、パリの日本文化会館(Maison de la culture du Japon à Paris)にて、企画展「辻邦生―パリの隠者 TSUJI Kunio - Un anachorète à Paris」が催されました。近衞はクリエイティブ・ディレクターとして展示空間の総合演出を任され、スタジオKOAAが設計を、人見久美子さんが印刷物のデザインを担当しました。

辻邦生展示室内部.jpg

辻邦生

1925年東京生まれ。名古屋、湯河原、松本など転々とし、東京大学仏文学科で渡辺一夫に師事。大学院卒業後、1956年から学習院大学で教鞭を執る。作家としても活躍し、1963年、『廻廊にて』で近代文学賞、1973年、『背教者ユリアヌス』で毎日芸術賞を受賞。1976年、軽井沢に別荘(磯崎新設計)を構え、生涯軽井沢を愛す。1999年に亡くなる直前まで信濃毎日新聞に連載。1995年に『西行花伝』で谷崎潤一郎賞受賞。西洋と日本の文化が融合した名作を多く残した日本を代表する作家。パリのデカルト通りには辻の記念プレートが掲げられている。

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辻邦生が学習院大学の教授だった関係で、学習院大学史料館には辻邦生関連資料が約4万点所蔵されています。今回の「辻邦生-パリの隠者」は、学習院史料館が初めて海外で行った企画展で、作家が長く住んだパリの日本文化会館と学習院大学と交流のあるストラスブール大学で巡回され、近衞はパリの日本文化会館3階に設けられた展示室の総合演出を担当しました。

辻邦生展示入り口.jpg

展示室入口は辻邦生が住んだアパートをイメージした

本来、壁にかけるべき挨拶文、年表、交流のあった人物の相関図などの平面資料は、すべて幕に印刷して、その幕を垂らして壁としてしまうなど大胆な展示方法を近衞は選択。その手前に展示ケースを配置して原稿、日記、イラスト、北杜夫など他の作家と交換した手紙などを紹介しました。

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辻邦生ハガキ.jpg

ハガキはキレイに並べるのではなく、圧倒感を出すように展示

そして、旅行鞄、カメラ、サングラス、地図などの愛用品は、作家をより身近に感じてもらうために、ケースに入れるのではなく、裸展示にチャレンジ。盗難が多いフランスで勇気のいる試みでしたが、関係者の理解を得ることに成功。来場者からは、辻邦生のパリでの生活や作家としての功績が生き生きと伝わってくる、と大いに評判となりました。

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パリを歩き回るのに使った地図を展示して臨場感を演出

現地メディアにも取り上げられ、5日間の会期中に約500名が来場する賑わいようでしたが、1つの作品も無くなることなく、パリでの巡回展は無事終了することができました。

学習院は近衞の高校までの母校であり、ヨーロッパと日本を行き来した経験も共通する辻邦生へ、近衞は強い親近感を持って今回のプロジェクトに臨みました。作家・辻邦生の企画展をパリで総合演出できたことは近衞の中で強く思い出に残る仕事の一つです。このような機会を頂いた関係者の皆様に、この場を借りて、厚く御礼申し上げます。

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